日本経団連の次期会長に評議員会議長の米倉弘昌氏(72)(住友化学会長)の就任が固まったのは、異例ずくめの人事と言える。
歴代の経団連の会長は、現役の副会長から選ばれるのが通例だ。会長が在任中に、次期会長にふさわしい複数の財界人を副会長に就けておき、経団連首脳としての経験を積ませながら人選を進めるのが定石と考えられている。
過去に評議員会議長から選ばれたのは、第2代の石坂泰三氏(就任期間1956年〜68年)ただ一人だ。
会長就任時の年齢も73歳と、1990年代以降に就任した会長では、平岩外四氏の76歳に次ぐ高齢となる。また、旧財閥の名称を会社名に掲げている企業から経団連会長が選ばれるのは、今回が初めてだ。経団連は、様々な業界団体を代表することから、財閥色が強い企業からの会長就任を意識的に避けてきた。
さらに、これまで会長を輩出した企業が東芝や新日本製鉄、トヨタ自動車など「日本を代表するメーカー」だったのに対し、住友化学は経営規模が小さく、関連産業のすそ野も広いと言えない。
次期会長レースでは、年が明けてからも、様々な条件を満たす西田厚聡副会長(東芝会長)が最有力視され、財界首脳への根回しが行われた形跡がある。人選が長引いたことや、土壇場で異例の展開となったことで、御手洗会長や周辺の当初の思惑通りに運ばなかったのではないかとの見方が出ている。