米グーグルは5日、初めて独自開発した携帯電話「ネクサス・ワン」を発売した。
高機能携帯電話(スマートフォン)市場で独走する米アップルの「アイフォーン」の有力なライバルになると見られている。両社はこれまで市場をすみわけていたが、急成長が続く携帯電話市場では全面対決することになった。
グーグルのアンディー・ルービン副社長は5日の声明で、「我々はネクサス・ワンを『スーパーフォン』と呼んでいる」と述べ、アイフォーンなど既存のスマートフォンを上回る性能を持つと強調した。
ネクサス・ワンは、周波数1ギガ・ヘルツの高性能の中央演算処理装置(CPU)を搭載し、3〜4年前のノート型パソコンに匹敵する性能を持つという。アイフォーンより画面は大きいが全体の重量は軽く、音声操作も可能で、「打倒アイフォーン」に向けて研究した跡がうかがえる。
一方、アップルは6日、自社サイトで配布されているアイフォーン向けと姉妹機アイポッド・タッチ向けソフトのダウンロード件数が累計30億本を突破したと発表し、「ソフトの豊富さ」をアピールした。電子書籍などが楽しめる新たなタブレット型情報端末を今月末に発表する、とも報じられている。
グーグルはこれまでネット事業に特化し、アップルはパソコンや携帯音楽プレーヤーに強みを持っており、両社の得意分野は異なっていた。さらに、マイクロソフトという共通のライバルの存在もあって、友好関係を築いてきた。
グーグルは携帯電話向け無償基本ソフト(OS)「アンドロイド」で使える地図検索などのサービスをアイフォーン向けだけに提供しており、同社のエリック・シュミット最高経営責任者(CEO)は昨夏までアップルの取締役を兼ねていた。
しかし、グーグルとしては、アンドロイドOSの普及を促し携帯電話向けネットサービスで優位に立つには、自社ブランドの携帯を投入する必要があると判断した。
ネクサス・ワンは当面、米国、英国、香港、シンガポールの4か国・地域で販売される。
日本での販売については「現時点ではコメントできない」(グーグル広報)としているが、アンドロイドは日本語にも対応しており、日本でも販売される可能性は高そうだ。(ラスベガスで 池松洋)