カジュアル衣料品店「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは、年内にも数百人規模のグループ社員を海外に転勤させる方針を明らかにした。中国や韓国、ロシアなどに積極出店するのに伴う措置。現在の海外勤務者数は約100人で、一気に数倍もの社員を海外に出すことになる。国内のユニクロ販売は引き続き絶好調だが、グローバル企業への脱皮を目指す中で、社員の教育や意識改革を図る狙いもある。
柳井正会長兼社長がフジサンケイビジネスアイの取材で明らかにした。柳井会長は2010年を「民族大移動の年」と位置づけ、「日本人従業員の海外勤務だけでなく、現地従業員の日本勤務も積極的に行う」としている。将来的には本部社員の全員に海外勤務を経験させる計画だ。同社グループの正社員数は現在約3000人。
ファーストリテは2020年8月期までにグループ全体の売上高を、10年8月期見込みの7980億円から5兆円に拡大する計画。ユニクロの全世界の店舗数を昨年6月末の867店から20年には約4.6倍の4000店に増やす。中国や韓国をはじめ、シンガポールを拠点にタイやインドネシア、マレーシア、インドなどにも広げ、計画達成を目指す。
一方、国内の足元の販売は、苦戦する他の小売業を尻目に絶好調だ。4日発表した09年12月の国内ユニクロの既存店売上高(687店舗、速報値)は、前年同月比11.5%増となり、5カ月連続のプラスを記録した。フリースや発熱保温肌着「ヒートテック」、ダウンジャケットなど冬物商品の販売が好調だったほか、「創業60周年記念キャンペーン」も貢献した。
直営店全体(775店舗)の売上高は18.5%増。客数は既存店ベースが13.4%増、直営店ベースが21.1%増だった。
ただ、客単価は既存店ベースが1.7%減、直営店ベースが2.2%減と09年7月以来5カ月ぶりに前年を下回った。「ヒートテックなど単価の安い商品が大きく伸びたため」(企業広報チーム)だが、集客増が単価下落をカバーした格好だ。