毎日新聞は昨年末、全国主要企業119社を対象に景気動向などを聞くアンケートを実施した。景気がこの先「良くなる」との回答は全体の29.4%の35社にとどまり、56.3%にあたる67社が「足踏み(横ばい)」と回答。08年秋のリーマン・ショック後の最悪期からは脱したものの、内需低迷やデフレ、円高の進行などで、企業の間で「景気は踊り場に入る」(大林組)との見通しが広がっていることをうかがわせた。さらに、「悪化する」との回答も13.4%にあたる16社に上り、景気低迷・悪化で「二番底」に陥ることへの警戒感も強まっている。
アンケートは昨年12月上旬から中旬にかけ、主要119社の社長、会長を対象に実施した。
景気の現状については、76社(63.9%)が「足踏み(横ばい)」と回答。「緩やかに悪化」「悪化」も計13社(10.9%)あり、「緩やかに回復」は30社(25.2%)にとどまった。
また、景気の先行きを「良くなる」と予想した35社に、景気の本格回復時期を聞いたところ、約6割が「10年度下期」、2割が「11年度以降」と回答。「10年度上期」が最も多かった昨年7月のアンケートと比較すると、本格回復を見込む時期が後ずれしている。
一方、10年度の自社業績については、電機や素材など輸出企業を中心に計50社(42.0%)が「好転」「やや好転」を見込む一方、食品や流通を中心に「横ばい」(15社)や「やや悪化」(6社)を予想する企業も計2割近くに上った。
リーマン・ショック後の世界的な経済危機で、日本企業は在庫調整やリストラを加速。エコカー減税やエコポイント制度など政府の景気刺激策や輸出の復調で、製造業を中心に昨年7〜9月期以降、企業業績は持ち直してきている。しかし、長引く内需不振で非製造業は業績悪化が続いており、デフレや円高で、製造業でも景況感は大幅には改善していない。このため、新年の景気について「回復基調自体は崩れなくても、海外の景気対策打ち切りに伴う輸出鈍化などで一時的に踊り場状況となる」(三菱UFJフィナンシャル・グループ)との見方が広がっている。【宮崎泰宏、和田憲二】
◇鳩山政権の経済政策、4分の1が「期待」
鳩山政権の経済政策に対しては、全体の約4分の1に当たる29社が「期待している」と回答、「期待していない」(14社)を上回った。ただ、暫定税率廃止で首相や閣僚の発言が二転三転するなど「政策の方向性がはっきりしない」(食品)ことから、約半数(55社)は「どちらとも言えない」と回答した。
期待するとした企業からは「自民党政権下でできなかった政策の実現を」(通信)と改革実行を求める声があった一方で、期待していないとした企業からは「所得の直接補償などバラマキ(政策)も多く、何を柱に経済成長を図るのか、指針が無い」(JR東日本)との厳しい声もあった。
一方、温室効果ガス25%削減という政府の目標については、「日本が国際的な主導権を発揮する好機」(機械)など、約3割に当たる36社が支持を示し、「支持しない」の23社を上回った。ただ、経済への悪影響を抑える制度設計を政府に求める声があった。【宮崎泰宏】