2010年01月02日

視線は10年以上先へ “路線転換”に賭けるトヨタ

 トヨタ自動車の豊田章男社長が就任して半年が過ぎた。就任直後から予想外の経営課題が噴出し、その対応に翻弄(ほんろう)されてきた。はたして、2011年3月期の黒字転換という公約が達成できるのか。10年は自動車業界の頂点に立つトヨタにとり、会社の命運がかかった1年となりそうだ。

  [フォト]「トヨタ すべって転ぶ」 英誌エコノミストが巻頭特集で酷評

 「この車がなかったらトヨタはどうなっていたのか…」。 昨年末、あるトヨタ幹部が発したこの言葉が、いまのトヨタを端的に表現している。

 その車とは「新型(3代目)プリウス」。エコカー減税など国の経済対策もあり、昨年5月の発売開始以来、注文が殺到。累計販売台数は20万台を超え、日本自動車販売協会連合会(自販連)による09年の車名別販売ランキングでも「プリウス」のトップが確実視されている。今、店頭で注文しても納車は6月中旬以降だ。

                 ◇

 ただ、今のトヨタにとって明るい話題は、国内でのプリウスなどハイブリッド車(HV)の販売好調くらい。世界では厳しい戦いを強いられている。

 販売台数世界一の原動力となった米国では、単月の販売台数が09年10月以降、前年同月実績を上回っているが、09年1〜12月累計では前年実績を20%程度下回る見通し。さらに昨秋、高級車「レクサス」などでアクセルペダルにフロアマットが引っかかる「フロアマット問題」が発覚。昨年11月下旬、426万台のリコール(製品の回収・無償修理)に追い込まれ、米国でのブランドイメージに傷が付いた。

 一方、中国の新車販売市場は09年に米国を抜き、10年には1500万台に達するとみられる。トヨタはSUV(スポーツ多目的車)の「RAV4」「ハイランダー」の現地生産などで09年の販売台数は前年比20%前後上回る見通しだが、独フォルクスワーゲンなど海外メーカーとの競争で苦戦を強いられている。

 新車販売市場と生産能力との格差を縮める努力も緒についたばかり。米国では、米ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁工場「NUMMI(ヌーミー)」から3月末での撤退を決めたほか、国内工場でも高岡工場(愛知県豊田市)第2ラインを今春から11年後半まで休止する。中国では「販売市場の10%のシェア確保を目指す」(トヨタ広報)というものの、現地の生産能力は約80万台に過ぎず、日米とは逆に生産能力が足りない。

 証券子会社の売却、住宅事業の子会社への集約、自動車レースの最高峰F1からの撤退…。経営資源の本業回帰を鮮明にしたトヨタだが、その復活の手がかりは何か。

                 ◇

 トヨタ再生のキーワードは「エコカー(環境対応車)」と「新興国」。1日付で発足した「電池生技開発部」では、HVや電気自動車(EV)に使われる次世代車載用電池の生産技術の開発に取り組む。昨年末に法人向けリース販売を始めたプラグインハイブリッド車(PHV)も、早ければ来年にも一般販売に踏み切る見通し。さらに12年には米国で超小型車「iQ」をベースにした電気自動車を発売する計画。開発中の次世代電池はこれらの新型車両に投入される可能性が大きい。さらに15年には米国で燃料電池車も投入する。

 一方、今年末にインドで発売される新興国向け小型戦略車「エントリー・ファミリー・カー(EFC)」。5日にニューデリーで開催される自動車展示会「オートエキスポ」で初披露されるが、「思ったよりも軽快に走る。日本で走っても遜色ない」(トヨタ幹部)と自信を持つ。EFCは12年に中国でも販売される計画だ。

 新興国市場は、トヨタ以外の内外のメーカーも低価格の小型車を相次いで投入しており、競争が激化する。インドでのトヨタのシェアはわずか2%。ドイツ・VWとの資本業務提携を決めたスズキの約50%と比べると、トヨタの出遅れ感は否めない。

                 ◇

 販売の巻き返しには低価格が武器となるが、そのためには部品レベルでの原価低減が不可欠。トヨタは取引先の部品メーカーに対し、部品価格を今よりも30%下げるよう求めた。1日付の組織改正では調達企画部を設置。複数の部署にまたがっていた部品の設計や調達に関する機能を一元化し、部品メーカーと連携した原価低減の取り組みを一段と進める。早ければ12年前後に発売される新型車にはこの取り組みが反映される。

 エコカーにしても新興国にしても、トヨタはすでに10年後よりもずっと先に目を向けて、着実に手を打っている。

 08年秋に発生した世界同時不況で痛手を被ったトヨタ。米国市場を念頭に置いたそれまでの拡大路線から、新興国市場重視への路線転換は並大抵のことではなかった。

 豊田章一郎名誉会長は社長時代、トヨタの企業文化について、「何かを決めるまでに時間がかかる。でも、決断したらとことんやる」と語った。10年を乗り切れば、再び「世界最強のものづくり企業」になれるかもしれない。(松村信仁)

【関連:業界展望2010】
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視線は10年以上先へ “路線転換”に賭けるトヨタ

 トヨタ自動車の豊田章男社長が就任して半年が過ぎた。就任直後から予想外の経営課題が噴出し、その対応に翻弄(ほんろう)されてきた。はたして、2011年3月期の黒字転換という公約が達成できるのか。10年は自動車業界の頂点に立つトヨタにとり、会社の命運がかかった1年となりそうだ。

 「この車がなかったらトヨタはどうなっていたのか…」。 昨年末、あるトヨタ幹部が発したこの言葉が、いまのトヨタを端的に表現している。

 その車とは「新型(3代目)プリウス」。エコカー減税など国の経済対策もあり、昨年5月の発売開始以来、注文が殺到。累計販売台数は20万台を超え、日本自動車販売協会連合会(自販連)による09年の車名別販売ランキングでも「プリウス」のトップが確実視されている。今、店頭で注文しても納車は6月中旬以降だ。

                 ◇

 ただ、今のトヨタにとって明るい話題は、国内でのプリウスなどハイブリッド車(HV)の販売好調くらい。世界では厳しい戦いを強いられている。

 販売台数世界一の原動力となった米国では、単月の販売台数が09年10月以降、前年同月実績を上回っているが、09年1〜12月累計では前年実績を20%程度下回る見通し。さらに昨秋、高級車「レクサス」などでアクセルペダルにフロアマットが引っかかる「フロアマット問題」が発覚。昨年11月下旬、426万台のリコール(製品の回収・無償修理)に追い込まれ、米国でのブランドイメージに傷が付いた。

 一方、中国の新車販売市場は09年に米国を抜き、10年には1500万台に達するとみられる。トヨタはSUV(スポーツ多目的車)の「RAV4」「ハイランダー」の現地生産などで09年の販売台数は前年比20%前後上回る見通しだが、独フォルクスワーゲンなど海外メーカーとの競争で苦戦を強いられている。

 新車販売市場と生産能力との格差を縮める努力も緒についたばかり。米国では、米ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁工場「NUMMI(ヌーミー)」から3月末での撤退を決めたほか、国内工場でも高岡工場(愛知県豊田市)第2ラインを今春から11年後半まで休止する。中国では「販売市場の10%のシェア確保を目指す」(トヨタ広報)というものの、現地の生産能力は約80万台に過ぎず、日米とは逆に生産能力が足りない。

 証券子会社の売却、住宅事業の子会社への集約、自動車レースの最高峰F1からの撤退…。経営資源の本業回帰を鮮明にしたトヨタだが、その復活の手がかりは何か。

                 ◇

 トヨタ再生のキーワードは「エコカー(環境対応車)」と「新興国」。1日付で発足した「電池生技開発部」では、HVや電気自動車(EV)に使われる次世代車載用電池の生産技術の開発に取り組む。昨年末に法人向けリース販売を始めたプラグインハイブリッド車(PHV)も、早ければ来年にも一般販売に踏み切る見通し。さらに12年には米国で超小型車「iQ」をベースにした電気自動車を発売する計画。開発中の次世代電池はこれらの新型車両に投入される可能性が大きい。さらに15年には米国で燃料電池車も投入する。

 一方、今年末にインドで発売される新興国向け小型戦略車「エントリー・ファミリー・カー(EFC)」。5日にニューデリーで開催される自動車展示会「オートエキスポ」で初披露されるが、「思ったよりも軽快に走る。日本で走っても遜色ない」(トヨタ幹部)と自信を持つ。EFCは12年に中国でも販売される計画だ。

 新興国市場は、トヨタ以外の内外のメーカーも低価格の小型車を相次いで投入しており、競争が激化する。インドでのトヨタのシェアはわずか2%。ドイツ・VWとの資本業務提携を決めたスズキの約50%と比べると、トヨタの出遅れ感は否めない。

                 ◇

 販売の巻き返しには低価格が武器となるが、そのためには部品レベルでの原価低減が不可欠。トヨタは取引先の部品メーカーに対し、部品価格を今よりも30%下げるよう求めた。1日付の組織改正では調達企画部を設置。複数の部署にまたがっていた部品の設計や調達に関する機能を一元化し、部品メーカーと連携した原価低減の取り組みを一段と進める。早ければ12年前後に発売される新型車にはこの取り組みが反映される。

 エコカーにしても新興国にしても、トヨタはすでに10年後よりもずっと先に目を向けて、着実に手を打っている。

 08年秋に発生した世界同時不況で痛手を被ったトヨタ。米国市場を念頭に置いたそれまでの拡大路線から、新興国市場重視への路線転換は並大抵のことではなかった。

 豊田章一郎名誉会長は社長時代、トヨタの企業文化について、「何かを決めるまでに時間がかかる。でも、決断したらとことんやる」と語った。10年を乗り切れば、再び「世界最強のものづくり企業」になれるかもしれない。(松村信仁)

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<メガネスーパー>フレーム価格だけで眼鏡作れる新価格体系を導入

 眼鏡・コンタクトレンズ販売大手のメガネスーパー(本社・神奈川県小田原市)は2010年1月1日に、新たな価格体系「フレーム オンリー プライス」を導入した。眼鏡のフレーム価格だけで、ホヤ(HOYA)、ニコン(Nikon)、セイコー(SEIKO)など国内一流ブランドのレンズを装着して購入できる。

 メガネスーパーによると、ワンプライスショップの台頭により、業界ではここ数年、平均単価が低下している。しかし一方で、18金・形状記憶合金など機能性眼鏡や有名ブランドのフレームを求め、「ワンプライス・ショップでは物足りない」との要望があり、他方では「ワンプライス・ショップでも高すぎる」とする声があるなど、消費者のニーズは多様だ。

 そのため、メガネスーパーは単純な価格競争だけではなく、商品の品質やサービスなど、販売店本来の「総合的サービス」の質の高さで競争する考えを固め、「フレーム オンリー プライス」の導入に踏み切った。同社は「業態そのものの移行」、「メガネスーパーは生まれ変わる」などとして、これまで以上に消費者に選択してもらえる店舗に全面転換すると強調している。

 「フレーム オンリー プライス」導入にあわせ、メガネスーパーは1月1日から2月10日まで、九州地区を除く全店舗で新春キャンペーンを実施。◆年賀状で特賞5万円分無料◆業界初の、来店日から最長2週間の補聴器の無料貸し出し◆コンタクトレンズで、1箱1500円からの特別価格販売――を実施する。(編集担当:如月隼人)
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野村「イスラム金融」に進出、教義に即し運用

 野村ホールディングスは31日、2010年にイスラム教の教えに則した手法で資金調達する「イスラム金融」に、日本の証券会社として初めて本格参入する方針を明らかにした。

 旧リーマン・ブラザーズから買収した中東の拠点などを活用して、イスラム圏にビジネスを広げ、資金調達や資産運用業務のグローバル体制を強化する。

 第1弾として、中東の湾岸地域やマレーシアの金融市場で、野村の顧客企業や自社向けに「スクーク」と呼ばれるイスラム債を発行することなどで、3月までに計100億円超の資金調達を行う。

 傘下の野村アセットマネジメントでも、機関投資家からイスラム法の教義に則した受託運用を数百億円規模で始めるなど、グループを挙げてイスラム金融への取り組みを加速させる。

 新興の金融センターとして成長が期待される中東の湾岸地域は、オイルマネーを背景に富裕層が多い。09年11月の「ドバイ・ショック」で経済の失速が懸念されたが、原油価格は1バレル=70〜80ドルで推移しており、中東金融市場は引き続き日本企業の有力な資金調達源になると期待されている。

 ◆リーマン部門買収で拠点◆

 野村がイスラム金融に本格参入するのは、08年秋に経営破綻(はたん)した旧リーマン・ブラザーズの欧州・アジア部門を買収した際、中東のカタールやアラブ首長国連邦(UAE)のドバイの2拠点を手に入れたことが大きなきっかけとなった。

 バーレーンやサウジアラビアにも産油国相手のビジネスで長年にわたって拠点を置いてきた野村は、08年5月に日本企業で初めてサウジアラビアの証券免許を取得するなど、日本の証券会社として中東で最大のネットワークを構築している。

 一方、野村はマレーシアでも09年に証券取引業を開始している。「アジアのイスラム金融センター」を目指すマレーシアは債券の発行・流通市場の環境整備などを積極的に進めており、資金の取り込みを狙う。

 野村は、日本経済と国内金融市場の成長が鈍化する中、「欧米勢と比べて日本勢が出遅れていた地域」(幹部)だったイスラム圏での金融ニーズを積極的に掘り起こすことが、新たな成長には欠かせないと判断した模様だ。

 日本の金融機関では、三菱東京UFJ銀行がマレーシアで顧客企業のイスラム債発行を支援したり、アジア企業にイスラム系銀行と協調融資した例がある。国内証券最大手の野村がイスラム金融に本格参入することが刺激となり、今後、他の国内大手金融機関が追随する動きも出てきそうだ。

 ◆利子は禁止、利潤の分配を名目◆

 ◆イスラム金融=イスラム教の教え(シャリア)に基づく独自の金融手法。イスラム教では利子が「不労所得」にあたるとして禁じられているため、イスラム金融では「投資による利潤の分配」などの名目に置き換えて投融資が行われている。イスラム債「スクーク」のほか、商品購入の資金を融通する「ムラバハ」などの手法があり、コーランの教えに反する豚肉、アルコール、ギャンブルなどに関係する取引は禁止されている。
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