日本航空の再建手法を巡り、菅副総理や前原国土交通相ら関係閣僚が30日、首相官邸で断続的に協議した。
官民折半出資の企業再生支援機構が来年1月に支援決定するまでの間、運航に支障をきたさないよう政府として資金繰りなどを支援する方針を改めて確認した。ただ、支援の具体策については結論が出ず、年明けの再協議に持ち越された。
前原国交相は30日夜、記者団に「日本政策投資銀行の融資枠は450億円残っている。さらに(新たな融資枠を設定する)ということで調整している」と述べた。政府100%出資の政投銀によるつなぎ融資枠を、現在の1000億円から拡大したい考えを明らかにしたものだ。これに対し、複数の政府筋は「政投銀の融資枠を増やすのは難しい」との認識を示しており、調整は難航を極めそうだ。
政投銀は11月に、政府の要請により、日航向けに1000億円の融資枠を設けている。
支援機構は、支援決定後であれば政府保証の付いた資金を民間から集めることができるため、その後の資金繰りには不安が少ない。ただ、機構は法的整理をした上で支援に乗り出す案を軸に関係者と調整している。このため、国内外の取引先に現金払いを求める動きが広がり、日航の資金繰りが危うくなる懸念がある。
一方、支援機構が日航の主要取引銀行に提示した案の中で、会社更生法を適用して法的整理を行った場合、債権者の負担が7000億円程度に上るとの見通しを盛り込んでいたことが30日、明らかになった。金融機関の貸し出し債権などのほか、社債など幅広い債権を対象にカットすることを検討している模様だ。取引先の連鎖倒産などを防ぐため、少額債権については保護することも検討している。